焙煎レシピ(ローストカーブ・ROR)の変更と香味の変化

こんにちはハッピーサトです。

当店では鍋を使った焙煎を行っていますが、昨年12月下旬より生豆を焼く際の熱の加え方「ローストカーブROR(Rate of Rise)」のアプローチに一部変更を加えました。

通常のオーダー焙煎とは別にテスト焙煎を行っているのですが、そのなかで「こっちのレシピ良いかも☆彡」と感じたため変更を考えてました。

結論としては、その条件で何度もテストしましたが変更後の方が「より自分好みの仕上がり」と判断できたのでレシピ変更に至りました。

※あくまで蓋あり鍋焙煎におけるテスト検証によるものです

せっかくなので、その内容を少し紹介したいと思います。

焙煎レシピの変更内容

変更の内容ですが、1ハゼピーク以降の火加減、排気(蓋の開閉)加減を変更し、1ハゼ以降の熱上昇の進みを比較的キープするような条件に変更しました。

下の図はザックリのイメージ図ですがローストカーブBをAの曲線に変更したという感じです。

一般的には、カーブAのように熱上昇がある程度一定の焙煎であればハッキリとした香味となります。

一方で、カーブCのように熱上昇を緩やかにして時間をかけるとマイルドな香味になるというイメージです。

どんな香味を出したいかによってこの熱上昇率と焙煎時間、この2つの組み合わせを変えて仕上げます。

適切ではない急激な熱上昇で豆を焼けば、生焼け状態でえぐみなど雑味が出たり、熱上昇が不足していたり失速させると個性の抜けた香味になります。

 

実際の測定からプロファイルAとBの違いを見てみましょう。

写真のようにPCでリアルタイムでモニターできる熱電対センサー(2チャンネル対応)を使っています。

下のグラフは実際にエチオピア・シダモを375g投入して、プロファイル変更後(A)と変更前(B)のローストカーブを測定したものです。

まず、グラフのデータについてですが、折れ線グラフが温度推移(0~250℃)、ポイント表示がROR/30sec(0~10)です。

※投入温度がA=150℃、B=175℃のため中点と序盤のRORは差が生じています。

プロファイルAでは基本的に蓋の開閉を行わず、要所要所で少しだけ蓋を開け隙間を作って蒸気や煙をニュートラルに排気する程度。

熱上昇は一定で進むようにし、メイラード反応時~2ハゼ後の煎り止めまで、RORは終始5.0付近で推移しています。

プロファイルBでは1ハゼ後からしっかりと蓋の開閉を行って排気しているので、グラフで10~20℃ガクッと温度降下する「崖」が確認できます。

ですので焙煎後半は温度上昇が適度に抑えられて緩やかなカーブとなり、メイラード反応以降5.0 、1ハゼ以降4.0 、2ハゼ以降3.5 といった感じで徐々にRORは低くなります。

プロファイル変更の結果

変更後の焙煎プロファイルでは、以前と同じ焙煎度でも香味の特徴がよりはっきりとしました。

特に当店でおススメとしている中深煎りでの「コク・甘味」といった個性がよりしっかり深く感じられます。

もちろん中煎りでは酸味ある香りがしっかりと味わえます。

それと、今回の焙煎プロファイルだと以前よりも熱カロリーがしっかり均等に豆に伝わっているのか、仕上がりの発色や膨らみ(伸び)がアップしている気がします。

 

今回はオープンから1年続けてきた焙煎プロファイルを変更してみましたが、香味の変化を楽しんでもらえたらと思います。

さいごに

今回は焙煎レシピの変更について紹介してみました。

焙煎方法は勿論ですが、豆の種類、精製方法や産地によっても味は全く変わります。

ちなみに年末は新しい豆のテスト焙煎もしていました。

今回はドミニカ共和国バラホナ・ティピカ、グアテマラ・アティトラン・ブルーレイク・ハニー、この2種類の豆。

いつも新しく採用する豆は、このように中・中深・深煎りに焙煎してどんな香味なのかを確認しています。

このハニ―製法のグアテマラの香りも良いのですが、個人的にはドミニカのティピカの甘味・コクは好みでグビッと飲んでしまいました^^;

ということで今年も世界各国の豆を採用して紹介してきますので、お楽しみに。

それではまた☆彡