こんにちは!あしたも焙煎の高瀬です。
ここ最近「コーヒーはどうやって保管するのが一番いいんですか?」というご質問を何件か続けていただきました。
ここ最近の地獄のよう夏の暑さもあり、鮮度の劣化を気にされている方が多いのだと思います。
ということで今回は、「購入後のコーヒーの香味と鮮度を劣化させない保管方法」についてご紹介します!
最初に結論を述べてしまうと「密閉した袋・容器に入れ、冷蔵保管」をおススメします。
焙煎したての珈琲を数週間のうちに飲みきる場合であれば、直射日光と高温多湿を避ければ常温保管でも十分おいしく飲めます。
ただ、短期間の保存でも鮮度をキープしたい場合は、常温よりも冷蔵保管のほうが鮮度劣化のスピードを抑えることが出来ます。
コーヒーを保管する際のポイントは、大きく分けて以下の3つ「温度、湿気、密閉」です。
温度
酸化や香味の劣化は温度と深く関係しています。
保管温度が高いほど酸化や香り成分等の蒸散が進みやすくなるため、常温より冷蔵、冷蔵より冷凍の方が劣化スピードを抑えられます。
ただし、冷凍は結露や冷凍焼けによる香味劣化のリスクがあるため、冷凍は避けて冷蔵保存する事をおすすめします。
暑い部屋より涼しい部屋の方が何となく劣化しにくいだろうというイメージは出来ると思うのですが、実験をもとにした数値やグラフも参考にすることが出来ます。
「Shelf-Life Prediction of Specialty Coffees using the Arrhenius Model(https://thescipub.com/)」というアレニウスの法則を用いた加速試験データが参考の一つになると思います。
下の引用データの、右上グラフと、中央下の●印の線(Tri-laminated)が今回参考にするグラフです。
引用:ojbsci.2023.17.24.pdf
この加速試験というものは、食品、材料、電子部品など様々な対象物の劣化、寿命、信頼性を試験するものです。
今回のコーヒー粉の試験データでは、コーヒー粉を20℃で保管とした場合に比べて、10℃で保管した場合は鮮度が約2倍も長持ちするとの結果になっています。
一方で、30℃で保管した場合は、20℃のおよそ半分の期間しか鮮度が保てないと結果です。
焙煎後のコーヒー豆の水分含有率は2~3%と非常に少ないため保管しやすい食品ではありますが、より低い温度で保管した方がより長く鮮度を保つことが可能となります。
湿気
コーヒー豆は水分含有率が2~3%という乾燥状態のため、吸湿性は非常に高くなっています。
湿気を吸うとコーヒーは劣化しやすくなります。
それは、吸湿することで水分活性が上昇し、豆内部の成分の化学反応や酸化の反応が進行してしまうためです。
味自体が大きく変ってしまいますので密閉して湿気から守る必要があります。
先ほど冷蔵庫での保管をおススメしましたが、冷蔵庫内も意外と湿度が高いので必ずジップロックや密閉容器に入れて保管しましょう。
一般的な湿度の例として、冷蔵庫の冷蔵室で湿度10~20%、野菜室では20~50%となるようです。
ですので湿気に非常に弱いコーヒーは、室内でも冷蔵庫内でもしっかり密閉して湿気の侵入を防ぐ工夫がとても大事です。
密閉
先ほど湿気から守るために密閉が重要と説明しましたが、香りを保ち、他の食品の匂い移りを防ぐためにも、しっかりと密閉できる容器に入れて保管する事がポイントになります。
また、ジップロックなどの袋に入れて空気を抜いた上で密閉することで、コーヒー豆と空気(酸素)の接触量を減少させて、酸化による劣化を更に防ぐことにもつながります。
このように密閉により「湿気・匂い・酸素」の三つを同時にシャットアウトすることができ、コーヒー本来の香りと味わいを長く楽しむことができます。
番外編:あえて劣化させて飲む
これまでの説明とは真逆になりますが、購入後あえてすぐに飲まずに暫らく寝かせて鮮度を落としエイジングさせてから飲むという楽しみ方もあります。
というのも、豆によっては香味や個性が強いものもありますので、そんな時は、数週間だったり1カ月ほど寝かせて、香味が落ち着いたほうが飲みやすくなる事もあります。
ちなみに、焙煎直後の鮮度の高いコーヒーが一番おいしいのかというと、そうとは限りません。
焙煎直後は豆内部に炭酸ガスが多く含まれていて、香味がとがって感じられる事があります。
この炭酸ガスは焙煎後3日目をピークに放出され、その後は放出量はやや緩やかになっていきます。
この3日目以降(浅・中煎りなどは1週間後以降など)の方が尖りがなく香味もしっかりして「落ち着いた味」に感じられると思います。
当店では焙煎直後に発送をしていますが、お客様の手元に届くのは2~3日後になるかと思いますので、落ち着いた味で鮮度も高い「飲み頃のコーヒー」になっているかと思います^^!
さいごに
という事で今回は、購入後のコーヒーをおいしく保管する方法について紹介してみました。
密閉して冷蔵で保管がオススメですが、コーヒーの状態も豆のままの方が香りも鮮度の劣化のスピードも遅くなります。
それは粉にしてしまうと表面積が大きくなってしまうので、香りの蒸散、酸素や湿気の影響を大きく受けてしまうためです。
ですのでベストは「豆のまま密閉し、冷蔵で保管、飲む直前にミルで粉に挽く」です^^!
ミルは電動がオススメです!
手回しは最初は楽しいですが、毎回手動だと手が疲れて面倒になってしまいます、苦笑。
それでは、暑さに気をつけつつ、素敵なコーヒータイムをお楽しみ下さいませ☆彡