こんにちはあしたも焙煎のサトです。
当店ではコーヒーノキ(アラビカ種)を栽培していますが、昨年度は開花からコーヒーチェリー収穫までを通して行うことが出来ました。
今回は、1年を通してどのような栽培をしたのか記録を時系列でまとめてみました。
少しでも参考になれば幸いです。
↓購入時の様子↓
ちなみに栽培場所は東京都内、季節により室内・屋外と切り替え、主に下記の点のみ注意しています。
- 「気温8℃以下にしない」
- 「霜にあてない」
- 「夏の強い直射日光を当てない」
肥料に関しては市販の液体肥料、固形肥料、油かすを与えている程度。
病気っぽい葉などを落とすことはありますが、基本的には切り戻しを行ったりはせず自然にそのまま育てています。
5月 初開花
適度な温度と日照、水やり(水切れ、やりすぎ)に注意しコーヒーノキの健康をただただ見守る日々・・・
初めての経験だったので最初は花の蕾なのかさえも分からない程でしたが、ある朝3つ花が咲いていました。
当店のコーヒーノキ初開花は2023年5月9日でした。
コーヒーノキの開花には最低3~5年かかり、一方うまくいかない場合は何年経っても花が咲かないという話も耳にしていました・・・
ですので、開花を目撃した瞬間は本当に奇跡のようで興奮して飛んで喜びました。
開花に至っただけでも感動的でしたが、次々と蕾が増えたので期待が膨らみました。
ちなみに開花から数日でこの小さなホワイトの花びらは落ちてしまいます。儚いのです。
この時期は成長著しい印象で週2回の水やりでは足りず少し元気が無かったため、2日に1度水やりをするようにしていました。
一つだけ困っている事があり、それは上の写真のとおりアブラムシの大量発生でした。
アブラムシ対策
アブラムシ発生のピークは4~5月あたりでした。
対策として酢の成分が入った野菜や花に使える市販のスプレーを使用しましたが一向に減らず・・・。
結局は軍手をはめてコーヒーノキからアブラムシを直接除去して潰すことで退治完了となりました。
アブラムシは繁殖力が半端ないので生き残りがいると、後日あっという間に元通りになってしまいます。
完全に除去する意気込みで時間をかけて作業する必要があり、コーヒーノキ2本を1時間かけて除去作業を行いました。
手作業でアブラムシを一つずつ除去したり潰したりは中々ハードなので、まずは下記での対策が良いかと思います。
アブラムシが発生する前の予防、発生数が少ない時期であれば有効かと思います。
【牛乳スプレー】
牛乳をそのまま、又は水で2~10倍に薄めたものをスプレーする。
牛乳成分の膜が貼ることでアブラムシが窒息死する。
牛乳が残ると腐敗や異臭の原因になるので、牛乳スプレー後は水を使いジョウロ等で茎・葉を洗い流す。
【酢スプレー】
酢を水で約100倍に薄めたものをスプレーする。
牛乳と同様にコーヒーノキの生育に悪影響を及ぼす可能性があるため、酢スプレー後は水を使いジョウロ等できれいに洗い流す。
【粘着テープ】
粘着テープを使って直接駆除。アブラムシの量が少ない場合は効果的ですし、作業も掃除も楽です。
【ブラシ】
筆や歯ブラシなどを使って、葉や茎からアブラムシを払い落とす。
但し、土や地面に落下したアブラムシは再びコーヒーノキに戻ってきてしまいます。
払い落したアブラムシを紙コップや皿などで受け取る必要があります。
ぜひお試し下さいませ☆彡
7月 結実 チェリー誕生
初開花の後も、続々と花が咲き元気いっぱいモリモリ成長しました。
木の背丈自体は約1.5メートルと変わっていませんが、枝葉が増えて少しずつ横方向へとボリュームが増していきました。
ある日、枝の節に小さくて可愛らしい丸い粒々を発見・・・。
これがコーヒーチェリー(果実)の赤ちゃん、ついに結実です!!
発見当時の大きさは0.5センチほど、完熟まで辿り着けば1.5〜2センチになるでしょう。
5月に開花、7月に結実を確認、上手くいけば年末~年明けにサクランボのように真っ赤に完熟するのかなとイメージしていました。
開花も結実も何もかも初めての経験なので、このまま大きく順調に育っていくのかもわかない状態でしたが、とにかく丁寧に大切に育て続けていきました。
この7月ごろも栽培で注意しているポイントは、「2日に1度たっぷり水やり」「直射日光に当てない」の2点だけです。
春は週に2回ほどの水やりで十分でしたが、夏場は成長が早くすぐに土が乾くので、週に3~4回というペースで管理していました。
10月 チェリー成長中
ゴールデンウィーク明けに初開花を迎え、大きさ数ミリの小さな赤ちゃんチェリーを発見しからもうすぐ5カ月経過というところ。
緑色の艶のあるの赤ちゃんチェリーたちは順調に育ってくれて、1.3センチほどの大きさになりました。
通常おおよそ6~8カ月間かけて1.5~2センチに成長し真っ赤なチェリーになると完熟のサイン。
※ブルボンアマレロなど一部の品種は黄色で完熟
このペースのまま育てば年末~年明けにでの収穫が期待できそうです(鳥に食われることが無ければ・・・)。
このくらいの大きさまでチェリー成長が辿り着いたことで、収穫がかなり現実的なものに思えてきました。
コーヒーチェリーの果肉がどのような甘さなのか食べて確かめるのも楽しみなのですが、やはりこの豆を手摘みして、精製して、焙煎してコーヒーの香味を確かめるのも楽しみ。
一般的には、コーヒーベルトの生産国のような標高(約1,500m前後)の気温差や、火山性土壌が豊かな酸味・香り・甘味を生じさせると言われています。
当店で育てているコーヒーノキはアラビカ種ですが、そのなかでもブルボン、ティピカ、カトゥアイ、カティモールなど、どの品種かによっても香味が変わってきます。
一方、当店の栽培環境は東京の海抜70m前後で栽培で、一般的な珈琲産地とは土壌も全く異なるため、酸味も甘みも少ない平坦な香味になるのかもしれません。
とは言え、自分で育てた愛情が詰まっているので、どんなタイプの味だとしてもきっと美味しいものに感じられると思います☆
さて、気になる収穫数。
開花結実した数がそもそも少なかったため、収穫数は15~25チェリーほどと予想していました。
1つのチェリーから2個のタネ(コーヒー豆)が取れますので、歩留まりはさておき単純に30~50粒くらいが精製できると仮定すると・・・おおよそ1杯分。
1年がかりの栽培・精製から出来上がる貴重な1杯になります^^;
いつか豆が育った木を眺めながらカップを楽しみたいと思います。
ちなみに本来であればコーヒーノキ1本から約3㎏(約1000個)のチェリーが収穫できるといわれています。
その3㎏のチェリーを精製(脱穀・乾燥等)すると約500g程度、さらに生豆を焙煎すると15~20%ほど重量が減少するので最終的には約400gのコーヒー豆となります。
1杯10gのコーヒー豆を使うと仮定すると、1年かけて1本の木からやっとコーヒー40杯分が味わえるという事です。
生産国や農園の人々にも思いをはせると、いつもとはひと味違った香味と価値に気付けるものと感じています☆彡
2月上旬 チェリー完熟間近
昨年2023年5月の初開花から9ヶ月が経過。
写真のようなサイズ感で変化せず、ず~っと緑色のままだったコーヒーチェリー。
今年度は失敗でこのまましぼんで枯れてしまうのかな・・・冬の期間はそんな不安を抱きつつ育てていたのですが・・・
なんと!
2月のある日、突然色が変わり始め完熟間近となりました!
ちなみにチェリーの変色は「緑色→黄色→赤色」と想像していたのですが、実際には「緑色→橙色→赤色」という感じで変化。
色の変化はとても速くて「あれ?緑色から変色しそう」と思った数日後には真っ赤な姿に変身しました。
嬉しくて毎日観察しましたが、朝と夕方に見るだけでも色の進みが分かるほど変化スピードが速かったです。
初めての開花、小さな小さなチェリーの赤ちゃん誕生、そしてチェリーの変色・・・それぞれの瞬間すべてが本当に感動でした。
さて、チェリーは収穫に近づいていますが、これだけ感動して嬉しく思うのには理由がありました。
それは害虫コナカイガラムシとの泥沼の長期戦があったからです。
コナカイガラムシ対策
コナカイガラムシは白色の数ミリの小さな虫で、移動しながら植物の汁を吸って弱らせる超厄介な害虫です。
この虫はもの凄い粘度のネバネバを排泄し、葉などがそれに覆われてしまうとダメージで弱って枯れたりします。
退治しようにもアブラムシのように非常に生命力も繁殖力も強く、少しでも生き残りがいるとすぐに繁殖して元通り‥。
アブラムシなどの殺虫スプレーでも全く効果なし・・・。
なので軍手をはめ1時間以上かけて葉(表・裏)、果実、枝、幹に潜むコナカイガラムシを直接除去。
そこまで徹底しても全滅には至らず虫が再繁殖し、数回同じ処置をしてやっと沈静化にむかいました。
ちなみに現在は、コナカイガラムシ対策については効果が魅力的だったモスピランを継続愛用するようになりました。
水で希釈(250~500倍など)してスプレーするだけ、少量で販売しているので重宝しています。
という事で、一時期はコナカイガラムシだらけあちこちネバネバになり「木自体が枯れてしまうのでは‥」という状態でしたが、なんとか試練を乗り越えました。
こんな苦労あっての一年だったので収穫間近の2月は、これまでの注いできた愛情が報われた気分でした。
春、収穫目前というタイミングの木の状態についてですが、冬の期間で葉は一部変色したり落ちましたが、すでに新芽が出てきていました。
2月下旬 初収穫
全てのチェリーが真っ赤な色に揃ったので、ついに初収穫を行いました!
果実の見事なフェラーリレッドにうっとりでした!
枝からプチプチともいで手摘みしましたが感動的でした。
手探りでコーヒーノキを育てながら、初開花、初結実を迎え、害虫コナカイガラムシと戦いながら9カ月かけ無事完熟に至ったので。
初体験だったため収穫の時期判断が難しかったですが、鮮やかなレッドよりも深いレッドへと進んだタイミングで収穫すると良いでしょう。
初めてだと焦って早く収穫しやすいと思いますが、レッドになってからの色の進行(熟成)はそれほど早くはないので、焦らずじっくり見極めての収穫をおススメします。
初年度の収穫数は7粒。次年度は豊作となるよう勉強しながらまた丁寧大切に育てていきたいです。
収穫後のチェリー試食やコーヒー豆精製についてはコチラで詳しく紹介しています。
さいごに
ということで今回は、コーヒーノキ自家栽培の1年間の記録を紹介してみました。
繊細な面はありますが丈夫な木ですので、温度・日照・水やりだけ注意していればうまく育つと思います。
花や野菜と同様に害虫対策は苦労が伴いますが、それを乗り越え収穫まで辿り着いた時の感動は別格です。
それではまた^^!